2018年3月23日金曜日

Canberra オーストラリア首都特別地域(ACT)奇譚ノ弐拾漆

20180214-130952-0 Visitor Centre 到着から2時間半。タイヤ交換を終えて仕切り直す我等。

 いよいよ世界自然遺産奥部へと分け入ります。




20180214-115221-0実際にはクレイドル・マウンテンに行くというよりは、麓の湖Dove湖に行くことになります。鳩湖ですね。湖畔にも駐車場がありますが、途中のすれ違いが狭隘で、素人には危険ですので、シャトルマイクロバスが強く推奨されています。頻繁に運航されていますが、1800最終便を逃すと湖から2時間歩くことになります。途中ウォンバットが見られました。この日は霰が降りやまず、濡れた雨具のままの乗車でしたが、ドライバーは嫌な顔ひとつしません。

20180214-122330-0 20分程度で到着。寒風吹きすさぶ兎に角タフな状況です。ある程度登山の経験のある我々は日本出発前には過剰と思われた対荒天装備が、丁度良い。

 目の前がDove湖。Cradle Mountainは雲の中。鞍部の長い双耳峰が揺りかごのようです。見えれば。

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 モコモコしているのはボタングラスです。  Gymnoschoenus sphaerocephalus イネ目カヤツリグサ科。タンニンを豊富に含みます。枯死したカヤツリグサの群生が低温化で腐敗が進まず積層し、タンニンを滲出させます。この茶色が地下水を着色し、河川は一様に紅茶色に染まっています。

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突然ですが、ウォンバットVombatidaeです。双前歯目ウォンバット科。三種類いるらしいですが、多分ヒメウォンバットCommon wombat だと思います。悪天候のため早々にDove湖を後にシャトルで途中のCradle Mountain Rodge 前まで引き返しとぼとぼ歩いていると居ました。Rodgeの敷地内にごく普通の場所です。庭先です。小さかったのでまだ幼い、親離れしたばかりのように見えました。ボタングラスをもりもり食べてます。近寄ってもガン無視です。

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Rdogeに接続するライトトレイルを回り、ほかの野生動物を探します。

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すんごい原生林っぷりです。川の水は紅茶色。

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遠いですが、ワラビーです。お腹に赤んぼがいるようです。警戒心が強く近付けません。降りしきる霰も写ってます。自然は分け隔てなく皆に厳しい。

20180214-132614-0 こちらは警戒心"0"のハリモグラ。現地の通称はエキドナEchidna
原獣亜綱カモノハシ目ハリモグラ科ハリモグラ属 カモノハシのグループにしています。

 なので卵で産んで、母乳で育てます。とにかくせわしなく動き回ります。やっとピンボケせず写りました。

暴風雨から始まり、霰の中のタイヤ交換、悪天候によるDove湖からの早々の退散と、天然自然の厳しさをつきつけられた我々も、終盤の動物ウォッチでようやく報われることとなりました。

20180215-063337-020180215-063421-020180215-063427-0お宿は、森の中にある Cradle Mountain Wilderness Village 外観は小屋ですが、中は実に広々としたロッジタイプのホテルです。レストラン HELLYERS RESTAURANT がメインロッジに併設されているので、さっそく夕食を

1518603820567 タスマニア産白ワイン…ではありません。お水です。飲用です。前述のとおり、ボタングラス由来のタンニンが豊富に含まれているので、ろ過しきれません。水道水はこのように着色していますが無論無害で、ほんのりと甘みを感じました。

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タスマニアビーフのペッパー・フィレス・テーキ。付け合わせはキムチとなっていましたが、根菜のピクルスとニンニクを合わせ、バルサミコソースで。

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 タスマニアンサーモンとビーフのカルパッチョのわさびソース。わさびは栽培技術を日本が伝えています。豊富な清流と涼冷な気候が好適だとか。季節が逆なのでソバと並び、日本向け輸出されています。以前も書きましたが、南半球に天然の鮭鱒類は生息していません。

暖炉が焚かれていました。湯船がないので、ゆっくりとシャワーを浴びて、静かに世界自然遺産の夜は更けてゆきます。動物たち大丈夫かなぁ…

【今回の有難いマイレージ】

  1. オーストラリアの動物といえば有袋類。5万年前人間が上陸するまでは楽園を謳歌していたようだ。全世界に生息していた有袋類は、有胎盤類との競争に各地で破れ続け、今やオーストラリアでの繁栄を見るのみ。しかし近代以降人間と人間が持ち込んだ有胎盤類との競争にはいずれ破れそうである。
  2. 島内自然公園の自然は深い。ちょっとルートを外れただけで、即遭難ということもざらである。日本でも山岳遭難者は年間2500件、死者300人超を数える。まして外国で自然と向き合おうとするなら、一層の備えは必須である。外地=観光という気分で、あるいは荷物を少なくするためといって装備は省くことがあってはならない。現地調達もできないものと考えた方がよい。真夏のCradle Moutain であっても天候によっては軽く疲労凍死する。
  3. 野生動物、特にウォンバット・ウォッチの聖地のように紹介されているが、時季、天候などで見れない日も多いらしい。過度な期待をしてはならない。遠目に見える程度のこともあるので、写真に収めたければ高倍率のカメラを用意した方が良い。スマホ程度では帰国後自慢できないこともある。
  4. シャトルバスは便利である。10~15分間隔で運行されている。途中にゲートがあるが、そこがバス停になっている。この周辺もウォッチ・ポイント。実にこの周辺で3種の有袋類を目撃することとなる。

【次回予告】

収束しない荒天に、現場から撤退を余儀なくされた我等。幸いに有袋類を目撃できたものの主題であるトレッキングには明朝挑むことになる。雨具も十分乾かぬ内に、降雨の挑戦となるのか天気予報を凝視するも、晴天は見込まれない。風雲急を告げる次回見逃すな。

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